最高裁判所第二小法廷 昭和32年(ク)215号 決定 1957年10月23日
抗告人 佐田三郎(仮名)
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告理由第一点の論旨は、後見監督人選任申立却下の審判に対する不服申立の途を認めない家事審判法一四条ならびに家事審判規則の規定が憲法三二条に違反するというにあるものと認められる。しかし、審級制度を如何にすべきかについて、憲法は八一条の規定以外なんら規定するところがないから、同条所定の点以外の審級制度は立法をもつて適宜にこれを定むべきであり、このことは当裁判所大法廷判決の判示するところである(刑事判例集二巻三号一七五頁以下参照)。されば右家事審判法ならびに家事審判規則の規定が憲法三二条に違反しないことは、右判例に照し明かであつて、論旨は採るを得ない。その他の論旨はすべて民訴四一九条の二所定の場合に当らないことが明らかである。
よつて、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)
〔抗告人〕 佐田三郎
抗告人の抗告理由
第一点 憲法第三二条に違反している。
第一審奈良家庭裁判所のなしたる一審、審判のみにて其に対する抗告を許さざるは裁判を受くる権利を一審のみとするのは憲法三十二条の精神に違反する。
第二点 原審の後見人監督人を必要とせずとの判断は申述人山田太市、間中君子の申述を遺脱した違反がある。
第三点 原審に於ける永田調査官の調査したる(選任されたる後見人は被後見人の私印私文書を使用している)を遺脱している。